2008年02月27日

『ジュノ』脚本家ディアブロ・コディ、お前は一体何者だ?!


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 5分だけでもいい ハルナリーズ・ブログ

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『JUNO/ジュノ』を観た。
普通の映画である。
普通といってもいい意味での普通である。
アカデミー作品賞を獲得するタイプの映画ではないが、
ちゃんとノミネートはされてしまうし、
脱力系の、肩肘張らない、
それに泣きわめいたり叫んだりしない、
フツーの素敵な青春映画である。

16歳の女子高生のジュノ(エレン・ペイジ)が
妊娠したことに気づくことから物語りは始まる。
ところがこの映画では
妊娠したからといってボーイフレンドといがみ合ったり
別れたりするシリアスな責任問題は生じないし、
逆に、二人手を取り合って産んで育てようといった
安っぽい/嘘っぽい熱血な前向き性もない。
ましてや金八先生みたいに熱く人生論を語る
大人も現れなし、
堕胎費用のカンパをつのるような
妙に張りきり過ぎるクラスの友だちも登場しない。
普通にジュノが自分で取り仕切って、
問題を無理のないように自分の意志で淡々と
解決しようとするだけだ。

ジュノは大きなお腹をかかえて学校に行くのも
平気だし、
学校のみんなはそれなりに興味津々と
彼女を見るが、
それもまた普通のことだし、
学校側と特に問題が生じるということもない。
(日本の中学高校はどうなんだろう。
 妊娠通学OKなのだろうか。
 この映画で判断するとアメリカはOKみたいだね。
 コロンビアは昔からバンバンOKだけどね。
 だって教育は当然の権利だからね。)


ストーリーは全部はいえないけど、
こういう感じだ。


16歳のちょっと風変わりで、
ちょっと可愛いジュノ(エレン・ペイジ)は、
いつもの退屈な午後、
気取らないところが魅力的な
クラスメイト・ポーリー(マイケル・セラ)と関係を持ち、
予定外の妊娠をしてしまう。
最初は堕胎の可能性も当たってみたりはするが、
結局自分としては産みたいという結論に至る。
そうはいってもまだ16歳、
自分で育てるというわけにはいかないことも
わかっていた。
そして考えた末に、
産んで養子にやるという道を選択するのだった。
生まれてくる赤ちゃんに
完璧な両親を見つけようと思い立ったジュノは、
親友のリーとともに、
養子を望む裕福な若夫婦、
マークとヴァネッサを見つける。
さっそくジュノは妊娠していることと
産んで養子に出す計画を
優しい父と義理の母に打ち明ける。
彼らの反応もまた怒ったりわめいたりしない。
どこかけなげでしっかり者の娘と
娘の妊娠という事実を素直に受け止めるのだった。
そしてジュノは父をともない、
マークとヴァネッサを訪問する。
そこではすでに彼らの女弁護士が待ち構えていて
養子縁組の法的話し合いがもたれるのだった。
若夫婦もジュノも
お互いを大いに気に入って、
話はまとまり、
ジュノは安心して妊娠期間を過ごすことになる。
9か月間を通して、体形の変化とともに、
様々な感情に揺さぶられながら、
大人になるための問題に
真正面からぶつかっていくジュノ。
物語には
ひとつの意外な展開が用意されている。
そのことでジュノは動揺するが、
彼女が最後に下す選択とは…? 
『サンキュー・スモーキング』のジェイソン・ライトマンが贈る、
ポップでキュートな青春コメディ、
つーようなもの。

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脱力系少女の青春映画で思い出したのは、
テリー・ツワイゴフ監督の『ゴースト・ワールド』だ。
オリジナル・コミックも脚色も
コミック作家ダニエル・クロウズ。
ソーラ・バーチとスカーレット・ヨハンセンが
まだ高校生ぐらいのときの映画で、
二人が脱力の演技だがみずみずしい。
大好きなスティーヴ・ブシェミが生真面目な中年オタクを
演じていて独特な世界の素晴らしい映画だった。
(製作はジョン・マルコヴィッチ、だからか、
 かなり風変わりな映画ではあった。)

そういえば、『ジュノ/JUNO』でも
裕福な若夫婦の夫マークは、
中年オタクとして描かれていた。
脱力系少女にはオタクが似合うのか。

さてこの映画はアカデミー脚本賞を獲得したわけであるが、
その若き女性脚本家のペン・ネームが変わっている。
〈ディアブロ・コディ〉という。
ディアブロはスペイン語、
訳すと、〈悪魔・コディ〉ということになる。
コディ(CODY)は彼女が通学していた学校がある
ワイオミングの町の名前。
名前からして凄いね。
この人、現在29歳、
ネットを通じて知り合ったロッカーと
結婚していたが、昨年末離婚、
いまはいいお友達だとか。
24歳のころ、
気まぐれにストリッパーなんかやったりしていて、
それをもとに本なんか出しているから
かなり積極的な人だ。
また過激な言葉を使う
「プッシー・ランチ」というブログの人気も高く、
これが現在のマネージャーに
認められるきっかけとなる。
その後、マネージャーに勧められて
脚本を書くようになり、
幸運にも処女脚本が認められ
映画化されてしまう。
次回作はスティーヴン・スピルバーグが出したアイデアを
もとに書いたドリーム・ワークス社の
テレビ・シリーズ(パイロット版)みたいだ。
その他にも映画化予定の脚本が
数本あるらしい。

『ジュノ/JUNO』における
ディアブロ・コディの脚本の手柄はなんといっても、
「物語には新奇な結末を持ってこなければならない」という
オブセッションを排除することができたことだ。
彼女自身そうとう奇抜な人なのに、
物語においては、
普通に盛り上がらせ、普通に終わらせている。
偉い!
もっとも描かれている世界の気分は
普通とはちょっと違う。
その世界観は独特な少女ジュノのキャラに
負うところが大きいだろう。
そして周りの人物たちも、
通常の青春映画に出てくるキャラとはずいぶん異質である。
少女が妊娠することで始動する物語は、
なんども観たことのある青春映画の反復であるが、
この映画はあきらかにそこに差異を生じさせることに
成功している。
唯一つ難点をいえば、
監督の演出が物語に寄り添って
あまりにも単調に推移していることで、
寄り道、ねじれ、破綻、ズレがまったくないことである。
まとも過ぎるのである。
撮り方がまっとう過ぎるのである。
映画監督なら主人公のキャラと拮抗しうるくらいの
ハチャメチャなところがないと面白みに欠けてしまうのだ。

そいえば去年の『マイ・リトル・サンシャイン』にも
同じような印象を持ったなあ。
サンダンス系や低予算映画の監督は
ずいぶんとストーリーを語る(映像化する)のは
うまくなったけど、
その分つまらなくなったなあ、
脚本に頼りすぎるなあ、
と思うこのごろである。





posted by ハルナリー at 16:18| Comment(0) | TrackBack(1) | 映画に関すること | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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