2009年01月05日

懐かしき赤き悪魔

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 I finally met a man who didn't know
    the shortest distance between two points.
       ―― it's a cabdriver.

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台所の流しの排水パイプが詰まってよく水が流れない。
すぐ水がいっぱいいっぱいに溜まって
洗い物を中止しなくてはならないことがしばしばだ。
これはわたしが日本に行っているときに
長女が雇った女中(家政婦とかお手伝いさんの
イメージではない。だから女中と呼ぶ。)が
景気良く流しのクズも
お構いなしに流して詰まらせたものと踏んでいる。
家事をする上でのデリケートさはこちらの女中にはない。
この国には幸田露伴はいないのだ。
固形洗剤などもよくコップや皿にくっついているから、
すすぎをきちんとするなんてことも
彼女たちの念頭にはない。
眼につきにくいものはどうでもいいのである。
たとえば、
掃除機はフィルターが一杯でぜんぜん吸い込んでないのに
そのまま平気で使用している。
ただ絨毯をなでているだけなのに。
そのくせ、日本人の持ち物は珍しいのか、
机の中のものなどひとつひとつチェックしている。
そして金目の物はポケットにねじ込む。
それでも外部の者(強盗団)を導きいれなければ
良しとしなければならない。
強盗の多くはグルである女中が手引きして
導き入れるのであるから、これは怖い。
昔は製氷器に水を入れずに氷を作ろうとしていた女中がいた。
冷蔵庫ってのは文明の利器だから、
空の製氷器を冷凍庫に入れさえすれば
氷がにょきにょき生えてくると思っていたらしい。
「だって旦那さん、製氷器に水なんか入れたら、
氷のできる場所がなくなるでねえか」

だから排水パイプの目詰まり解消のためには
強力な毒物でもある化学分解剤
「ディアブロ・ローホ(赤き悪魔)」を買ってきて、排水口に
ぶちこまなければならない。
「ディアブロ・コディ」ではない、「ディアブロ・ローホ」だ。
「ディアブロ・コディ」は『ジュノ』の脚本家名、
「ディアブロ・ローホ」は昔からコロンビア庶民の味方である
詰まったパイプ対策用の化学分解剤商標名なのである。

ところが、
「ディアブロ・ローホ」を買うのをいつも忘れてしまう。
それで次の買物ではパピート(父ちゃん)に
思い出させるようにと娘に頼んでおいたのだった。
昨晩は例の3Dアニメ『Bolt』を観にショッピング・モールに
出かけたのであるが、
時間があったので、
スーパーマーケットで買物をすることにした。
娘はさっそく「パピート、ディアブロ・ローホ、ディアブロ・ローホを
買うの忘れちゃだめよ」と忠告してくれる。
「ああ、そうだったね。買おうよ。どこにあるか見つけてよ」
とわたしはいって広い店内に視線を走らせる。
ざっと探しても見つからないので、
商品陳列の作業をしていた店員さんに訊いてみた。
「ちょっと待ってください、調べてみます」と返事をしたが、
そのへんに眼を走らせるだけで、
よそへ訊きに行く様子もなく、
さきほどまでしていた同じ作業に戻ってしまった。
こちらの店員さんの質の悪さの話、
つまりサービスの劣悪さの話をすると
一日では終わらないし、今日のテーマからも
ずれてくるので、この辺でやめることにしよう。
では、「ディアブロ・ローホ」の話に戻ろう。
二度あきらめたが、でもないはずはないと思い直し、
さらにつぶさに見て回る。
そして見つけた。
陳列棚の下のほうに隠れるように並んでいたのだ。
よく見ると類似品まで数点ある。
「あった、これだと思うよ」
わたしは商品の赤いボトルを手にした。
「それがディアブロ・ローホ?」と娘が尋ねる。
「だと思うけど、でも名前が違うね」
わたしはラベルの小さな文字を読む。
「間違いないけど、名前が違う。
 へえ、今は『ロケット』っていうんだね」
「パピート、これ劇薬なの?」
「そうだよ。前にもいったでしょ、
 これは劇薬だから触っちゃいけないって」
「わたし、こっちのボトルに触って、
  なんか粉みたいなのが付いちゃったよ」
「駄目駄目、劇薬なんだから」
「パピートのコートで拭いてもいい?」
「いいよ、ちゃんと拭きなさい」
「あっ、パピートのコートにも粉付いてる!」
「それ粉じゃないよ。パンくずだよ」
わたしは『ロケット』を手にしたまま笑った。
でも『ロケット』だなんて、
買った後も名前だけは気に入らなかった。
なじみの名前が消えるのはあまり嬉しいものではない。
『イボコロリ』が『イボコロリ』であってほしいと思うのと
同じような気持ちなのであろう。
そういえば『赤チン』という名前が消えて久しいが、
これも残念なことの一つである。

『ロケット』は名前が気に入らなかったせいか、
効き目も悪かった。
排水は良くなるどころかさらに悪化して、
まったく流れなくなった。
もうびくともしない。うんともすんとも言わない。
排水口の水面はさざなみすら打たない。
十和田湖か。

こうなったら、
あの棒の先にオッパイ型の黒ゴムがついた、何とかいうヤツ、
吸引ゴム付き排水パイプ貫通器とでもいうヤツを買ってきて
強引に無骨にパイプの目詰まりを正すしかない。
腕力的方法。
パッコン、パッコン。
ときどき汚いしぶきがピュッと顔にかかって嫌だけど。
『ロケット』が軌道に乗れなかったのだから仕方がない。
『赤き悪魔(ディアブロ・ローホ)』の協力が
得られなかったのだから仕方ない。

ところで、
『Bolt 3D』はよく出来たアニメ映画だった。
絵もきれいだし、話も面白かった。
3Dメガネで眼が疲れるかと危惧したがそうでもなかったね。
子供たちは『Bolt』を観たのに、
帰ってきてからまた『タイタニック』を観ている。
先日から3回目。
その前に数回観ていたらしくて、
そのとき大体セリフはスペイン語で頭に入っているようで、
英語版でも平気みたい。
もともと前半は出会いのラブストーリー、
後半はタイタニック沈没冒険ストーリーだから
会話が分からなくても楽しめるようになっている映画だ。
それにしても沈没シーンで
何人も蟻みたいに死んでいく映画をそんなに面白がるなんて
なんだか末恐ろしいな。






posted by ハルナリー at 02:25| Comment(0) | TrackBack(0) | コロンビアでの日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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